さわやかな香り(静岡県浜松市)
2019年12月
わたしは京都にいた。
おとといは大阪にいて、昨日は京都。
京都で1泊したら、今日は東京方面に向かってひたすら電車。
東海道本線に乗る。
勝手に、京都は極寒だと思っていたけどわたしが大阪・京都にいたここ数日は暖かかった。
暖かい日な上、手持ちで1番暖かい上着を着てずっと電車の中にいたのでちょっと気持ち悪くなっていた。
すると、ある駅で高校生が大勢乗ってきた。
それまで人がまばらだった車内は一気に満員電車と化した。
混雑と暑さで死にかけになったわたしは、たまらず浜松駅の1つ手前の高塚駅で降りた。
高塚駅ではほとんど誰も降りることなく、がらんとしたホームで全然来ない電車を1人で待った。
あと1駅なんだから我慢して乗っていれば良かった。
そう、1駅先の浜松駅には絶対に成し遂げなければならない用事がある。
わたしの2019年の目標はこれだった。
「さわやかのハンバーグを食べる」
「炭火焼レストランさわやか」は静岡県のみでチェーン展開しているハンバーグレストランだ。
静岡ローカルにもかかわらず、ハンバーグのあまりの美味しさに全国にファンも多い。人気すぎて2019年のGWには最高で520分待ちを記録したらしい(Wikipediaより)。やばすぎ。
520分までとはいかないものの普段からも待ち時間が長いため、静岡に行くことがあってもさわやかを諦めることが何度かあった。
しかし、この日は平日の午後3時。
待ち時間(さわやかのホームページで確認できる)はだいたいどの店舗も長くて10分ほど。
わたしは2019年の目標を今年が終わる前に達成するべく、誰もいない高塚駅からダルさを振り払うようにもう一度電車に乗り込んだ。
京都駅から約4時間かけて浜松駅に到着した。
さわやかは静岡県内に34店舗(2020年6月現在)あるが、浜松遠鉄店を選んだのは駅から近いからだった。
他の店舗は高速道路ICの近くなど、駅から離れている店舗が多い。わたしは車の免許を持っていないし、地元以外のバスに警戒心を持っている(土地勘ないから間違えそうで怖い)ので駅から歩いていけるのはとても助かる。
浜松駅から歩いて2分。
遠鉄百貨店の8階にさわやかはあった。
この日はちょうど「げんこつおにぎりフェア」をやっていた。
さわやか初心者なので「げんこつおにぎりフェア」が何なのか全然わかっていなかったが、どうやらハンバーグ、ライスまたはパン、ドリンクのセットがお得に注文できるというものらしい。(間違ってたらごめんなさい)
とりあえずオススメっぽい「げんこつおにぎりフェア」で注文をすることにした。
ハンバーグの大きさは、げんこつ倶楽部(ハンバーグ250g)、おにぎり倶楽部(200g)のどちらかが選べる。
せっかくなのでげんこつ倶楽部(250g)のほうにしてみた。
来た。
鉄板が牛の形をしている。
げんこつ倶楽部(250g)
ハンバーグが来る前に、机にさわやかのチラシが置かれる。最初はマックのトレーに敷いてあるバイト募集のチラシと同じようなものだと思っていたけれど、そうではなかった。
さわやかのチラシは店員さんが目の前でハンバーグを切ってくれる時に肉汁が跳ねるのを防止する役割をしていた。さわやかのチラシ、有り難〜。
遊園地の水系のアトラクションでビニールで水を避ける人みたいになれて楽しかった。
今までさわやかの写真を見て「ハンバーグ2つもあるのか…」と思っていたけど、これはハンバーグが2つあるのではなく、大きなハンバーグを横に切って分けたものだった。
250gと聞くと食べきれるか心配なほど多い印象だったけど、こんなふうに切ってもらえるとちょうど良く感じる。
ミディアムレア〜。
ソースはオニオンソースにした。
セットの乾杯ドリンクは店員さんとの「カンパ〜イ!」付きだった。
チラシで肉汁を避けるのも、「カンパ〜イ!」を言うのも参加型でちょっと楽しかった。
肝心の味ですが、
あまりにも“肉”だった。
肉すぎて、肉なのにとろけるし、どこもかしこも肉だし、肉がすごいし、これはハンバーグなのだろうか…?と疑問に感じた。
わたしの中にある“ハンバーグ”の範疇を超えていた。
とにかく、とろける肉、、、とろける肉でした。
正直、自分の中のハンバーグの常識を超えてしまったため、これがハンバーグなのか、それともハンバーグでないのかわからなくなってしまった。
ハンバーグって、、
ハンバーグとは……?
2019年の目標を達成することができて良かった。
去年考えた「今年の目標」なんて12月まで覚えていた試しがないため、達成した記憶も一度もなかったけど、ここで初めて「今年の目標」をしっかりと達成することができて良かった。
自分のハンバーグの常識を疑う結果となってしまったけど美味しかったです。美味しいのかまずいのかわからない変な書き方をしてごめんなさい。
また自分の常識を試されに行ってみたいです。
帰りにちょっとだけ熱海に寄った。
日本列島よりでかい作業員が水準点を観測しているマンホール蓋。
夜の熱海は駅前の商店街のお店も空いていなくて、歩いている人もあまりいなかった。
貫一お宮之像の近くにある海に来てみた。
なんとなく、夜の海には行ってはいけない気がしながら(魔物的な意味で)もゆっくり歩きながら海を眺めた。
向こうは明るくて、夜景が海に映ってキラキラしていたが、海の奥は果てしない黒が続いていて怖かった。
砂浜と海の境界線が曖昧だった。
そのあとも少しだけ砂浜を歩いて、熱海駅に戻った。
朝は京都にいたのに、浜松と熱海にも寄ることができた。大移動。
これから再び東京行きの電車に乗るが、未だにわたしからはさわやかに行った人だけが纏うことのできる“さわやかな香り”は消えなかった。
“さわやかな香り”と旅の思い出を乗せて電車は東京駅に到着した。