田沢湖線とkissaten(岩手県盛岡市〜秋田県秋田市)
(これは緊急事態宣言が出される1ヶ月ほど前の記録です)
2020年春
東京から約13時間、わたしは電車を乗り継いで盛岡にやってきた。
遅延の影響で最寄駅を出発してから15分で盛岡への到着が2時間遅れになることが確定したり、宇都宮駅でマンホール蓋の写真を撮っていたら謎の小説家に話しかけられたり、福島駅のイトーヨーカドーでものすごくうろうろしている男性を見ながらおにぎりを食べたり、電車の中で初めてエアドロの誤送信に遭ったり、一ノ関駅からずっとトンネルの中だなと思ったらただ外が真っ暗だけだったりしながらも、なんとか辿り着くことができた。
盛岡で一泊し、朝には少し散歩をした。
駅東の旭橋から見たなにかの山。
橋から見た川や山が気持ち良い。
盛岡は良い都会だなと思った。
福田パンとは、大きなコッペパンと豊富なトッピングメニューが特徴の盛岡で有名なローカルパン。その場で好きな具材2種類を選んでを注文することができる。
注文列に並んでいる時、前にいたおじいちゃんが、パンの注文をしてからレジ近くの冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、コッペパンの出来上がりを待つ間に飲み干して、出来上がったパンを受け取ると同時にカウンターに飲み干したコーヒーの缶を置いて帰っていた。
そんな様子を眺めていた。
わたしは1番人気のあんバターと紙パックの牛乳を買ってホテルに帰った。
コッペパン。
縦、横、高さ(厚み)すべてが大きい。
つまり体積が大きい。
パンの体積が大きいのはいいけれど、ここで心配なのは具がどのくらい入っているかだ。
パンだけの部分が多すぎて、一口、二口と食べてみてもパン、もっと食べて進めてもパン、やっと具の部分に到達してもまたすぐに終点のパンがやってくる。市販の大きめのパンにありがちで、とてもガッカリする。
しかし、そこはさすがの福田パンだった。
最初から最後まで具がぎっしりと入っていた。隅の隅まで、具が無いところがないくらいあんバターだった。あんとバターの厚みもすごく、コッペパン自体もむっちりとしているので食べ応えがあった。
そしてパンと一緒に買った「おおのミルク村 ゆめ牛乳」がとてつもなく美味しかった。
甘い、、やさしくて甘い。
わたしは普段東京で飲んでいる安い牛乳にはない、自然かつ濃厚な甘さがあった。コッペパンのおまけ程度の気持ちで買った牛乳だけど、衝撃的に美味くて一気におおのミルク村ゆめ牛乳のファンになった…。
福田パンはサイドメニューも強すぎる。
ホテルをチェックアウトし、
次は田沢湖線に乗って秋田を目指す。
田沢湖線で盛岡駅から終点の大曲駅(秋田県)まで乗車し、大曲駅から奥羽本線に乗り換えれば秋田駅はすぐだ。
わたしが乗ったのはもちろん普通列車だけど、田沢湖線では秋田新幹線こまちも同じルートを走る。(こまちは秋田駅まで直通)
新幹線は1時間に1本走っているけど、普通列車の大曲方面は1日に7本、盛岡方面は4本しかなかった。
田沢湖線じゃなくても、北上駅で奥羽本線に乗り換えて秋田に行くことはできたけど、“本数が少ない”というポイントに萌えたのでわざわざ田沢湖線を選んで乗った。わたしは駅間が信じられないほど長いとか、盲腸線とか、1日の乗降者数が少ないとか、よくわからないところにときめいてしまう。
14時22分発の大曲行きに乗った。
盛岡駅を出て、しばらくは長閑な田んぼや山の風景を走っていた。
ところが、秘境駅で有名な赤渕駅を過ぎると、急に外の景色が雪山になって、車内の空気がさっきよりも明らかに冷たくなった。
窓の外には、わたしのようなよく東北のことを知らない人が思い浮かべるであろう"冬の東北"を具現化したような景色が広がっていた。
素人がイメージする、冬の東北っぽい風景。
赤渕駅から田沢湖駅までは23分もかかった。各駅停車のはずなのに、あまりにも駅に着かないのでびっくりした。
田沢湖駅に到着すると、わたしと同じ車両にいた数人が全員降りた。ほかの車両にいた人もみんな降りていった。
自分しか乗っていないんじゃないかと思うほどガラガラの電車で終点の大曲駅まで向かった。
個人的見所は、羽後四ッ屋駅にある「おばこライスターミナル」のとんでもなくでかい建物。
だだっ広い緑の中に、どーんと建っている光景が強烈だった。
写真を撮り忘れたのがかなり悔やまれるが、本当に、幻のように大きかった。
田沢湖線はいろいろとテンションが上がったのでまた乗りに行きたい。そして「おばこライスターミナル」の巨大さをもう一度確かめたい。
突然ですが、ここで田沢湖線で出会ったマンホール蓋を3つ紹介します。
(出発待ちがものすごい長い駅がいくつかあったのでその隙に撮りに行きました)
わたし以外の乗客がいなくなった田沢湖駅にて。
ちょっと見づらいけど、いぬわし、ぶな、こまくさが描かれている。
角館駅前で見つけた「角館のお祭り」デザイン。
よく見ると塗装が剥がれまくっている。
左のほうにいる人たちの顔がみんな同じなのに、なんとなく愛らしさも感じる。
終点大曲駅のマンホール蓋。
大曲は花火が有名らしい。山から上、花火の背景の余白感がすごく良い。
やっぱなまはげだな〜。
(撮り忘れたので以前に行った時の写真の使い回し)
きりたんぽじゃなくて、比内地鶏。
秋田駅ビル・トピコにある「秋田比内地鶏や」で"極上の親子丼"を食べた。
"究極の親子丼"と迷ったけど、極上にした。
ちゃんと究極じゃなくて極上の味だった。
比内地鶏を使った親子丼には、同じく秋田名物のいぶりがっこも付いてきて嬉しかった。
夕飯の親子丼を食べ終えて、宿泊先のアパホテル千秋公園に向かおうとした時、突然あるものが目に入ってきた。
駅前名物 ラーメン
の上がすごい光ってた。
何だ、あれは…。
近づいてみると、
オススメは?
ない!
「NHKで放送」
されませんでした!
「コーヒー」は自販機で!
「かふぇ」はコンビニ・他店で!
「珈琲」はこの店で!
………。
あ、ちょっと変かも、ここ。
そう思った。
入るか入らないか、
入るか入らないか入るか入らないか……
入口の前でうろうろしていたら、中からお店の人に話しかけられた。
店内、可愛い……!
やたらと光ってるし変なお店だと思っていたけど、まさか店内がこんなに可愛いなんて予想外だった。
入口でかなりコーヒーを推していたので入るか迷っていたけど(コーヒー飲めない)、紅茶メニューもコーヒーと変わらないくらい種類があってホッとした。
テーブル席が2つとカウンターは8席くらい。
テーブル席は埋まっていたので、なんとなくカウンターの真ん中の席に座った。
わたしはラム・ウィンナー・ティーを注文した。
お水のグラスも可愛いし、紅茶のソーサーは紫色のパンジーが描かれていて素敵。
ラム酒が入っているので身体がぽっかぽかになった。
ぼーっとしながら紅茶を飲んでいると、
マスターに「県外から来た人?」と話しかけられた。
秋田県外から来た人はなぜかみんなマスターに対して真正面のカウンター席に座るらしい。例にも漏れず、わたしも真正面の席で紅茶が淹れられる様子を見ていた。
東京から鈍行で来たのだと言うと、そこからマスターと旅の話で盛り上がった。旅が好きらしく、どんどん旅をしたほうが良い!と言ってくれたり、明日行こうとしている場所でのアドバイスもしてくれた。
お店を出る頃にはすっかり打ち解けていた。
店前は「kissaten」だし、ちょっと変なところだったけど秋田に行った時はまた寄ってみたい。
可愛い内装で紅茶も美味しい、素敵なkissatenだった。
おまけ
トイレに続く道らしきところに「催し会場」と書かれていた。
右に見えるグッズ販売コーナーらしきものが催し会場なのか、それともトイレを催し会場と呼んでいるのか、どっちなんだろう。
再訪したらぜひ「催し会場」の謎も確かめたい。
東北旅編はまたちょこちょこ続きを書いていきます。
他にも五能線に乗ったり、壺のあるファミレスに行ったりして楽しい旅でした。