夏の早朝

空想や妄想をしてみたい。

大雨の記憶

 

わたしは雨が苦手だ。

 

特に高校生くらいの頃がピークだった。
当時は今よりイライラしていたので(今は怒りの感情ほぼなし)、よく雨に対して怒っていた。怒っても無駄なのに。いや、むしろ怒りが伝わらないという点が余計に腹立たしかったのかもしれない。

 

中でも最も嫌だったのは、制服に雨が付着することだ。1滴たりとも許せない。
もし制服がブレザーの学校だったら雨に対する嫌悪感は半減していたかもしれないが、わたしの通っていた高校はセーラー服だった。

 

まず制服がブレザーの場合、雨が降ってきたらブレザーを脱ぎ、裏返して小さくたたんでカバンの中にしまう。そうすると上半身はシャツだけの状態になり、傘で防ぎきれなかった雨粒はシャツに付着する。

 

それはいい。シャツが雨被害に遭うのはまだ許せる。なぜならシャツは洗えば良いから。ブレザーのシャツは毎日洗い替えて登校するので、ある程度のストックがあるはずだ。たとえ雨に濡れても、家に帰ってすぐに洗濯機に脱ぎ捨てれば何も問題はない。

 

しかし、セーラー服はどうだろうか。
わたしは夏服の場合、半袖と長袖の2種類を1枚ずつ持っていた。もう少し多めに持っている生徒もいたかもしれないが、せいぜい3、4枚くらいだろう。
夏服のセーラーは毎日ファブリーズをかけて同じものを着続け、1週間くらい着たら洗濯してもう1枚のほうを着る。


これ書いてて思ったんだけど、夏服のセーラーってめちゃめちゃ汚いな…。
ブレザーの制服のシャツにあたるものだ。汗もよく吸うだろう。それなのに何日も同じものを着てるって、、

 

まあ、わたしは人より代謝が悪くて真夏でも全然汗かかなかったので汚くないと思うんですけどね。(そんなわけない)

 

話が逸れたが、貴重な2枚ローテーションが雨に濡れると非常に困るのだ。不快だし、雨に濡れたからといってその度に洗濯してたら追いつかなくなる。

 

冬服なんてさらに地獄だ。生地が分厚くて高級なのでわたしは1着しか持っていなかった。クリーニングでしか洗うことができないのに、雨なんかに汚されてしまったらたまったものではない。

 

またまたこれを書いてて思ったんだけど、冬服のセーラーもめちゃめちゃ汚いじゃん…。

特に寒い時期は下にヒートテックを着ていたけど、秋とか素肌に直接セーラーですよ、、洗えないのに…。

 

制服のスカートはブレザー、セーラーとも同じ条件だと思うが、なんとなく、上半身に身に付ける服の方が雨に濡れることに対しての嫌悪が強かった。

 

普通は逆だと思うが、わたしは私服より制服が濡れてしまうことのほうが抵抗があった。

これも同じ理由で、私服は洗えば済むけど制服はなかなか洗えないから。

 

上に書いてきたような衛生的な理由もあるけれど、それ以上にわたしはセーラー服が大好きで大切に着たかったので、高校時代は特に雨を嫌っていた。

(わざわざセーラー服の学校しか受験しなかったくらい好きでした)

 

 

いつからわたしはこんなに雨が嫌いになってしまったのだろうとたまに考える。

頭の隅々を探してみても特に思い当たるキッカケはないのだが、1つ、雨に関する印象的な記憶がある。

 

中学3年生の時、学校から帰ろうとしたらとんでもない大雨が降ってきた。恐ろしい轟音とともに大粒の激しい雨がアスファルトを打ち付けた。

急な雨だったので傘も持っていなく、最悪だな・・・と思いながら、止むのか小雨になるのか、玄関の近くで雨の様子を見ていた。

 

すると、いつも一緒に帰っている仲の良い友だち2人が突然外に飛び出していった。傘もささずに。

 

「キャーーーー!!!!」
「雨やばい!たのし〜〜〜!!!!!!」

 

と、はしゃぎながら久々の雨を喜ぶ砂漠の住人のように大雨の中を駆け回っていた。傘もささずに。

 

彼女たちは教科書の入ったカバンを持ちながら、全身を雨に打たれまくっていた。わたしはその様子を呆然と見ていた。

 

「おいでよ〜!このまま帰ろうよ〜!!」

 

と言われたけど、わたしは断固拒否した。
だって、雨に濡れたら気持ち悪いし教科書がフニャフニャになる。そしてページとページが張り付いてパリパリになり、剥がそうとしたらくっついてベリってなる。絶対に嫌だ。


自分自身が濡れることより、教科書がフニャフニャになるのがものすごく嫌だった。そのフニャフニャになった教科書をこの先も数ヶ月使っていくことを想像しただけでも最悪だった。

当時はまだイライラしていたので、そんな教科書を使うことになったら、後先考えずに怒って投げ捨ててしまいそうだ。

 

友だちはまだ楽しそうに大雨を浴びていた。笑いながら制服のまま雨の中を走っている光景は、かなり青春っぽかった。

 

まだ雨は降り続ける。

わたしは、2人と、真っ白なアスファルトをただ眺めていた。

 

 

……ちょっと雨、浴びてみようかな…?

 

教科書フニャフニャ問題を考えると、大雨に濡れて帰るなんてことは絶対にしたくない。しかし、あまりに楽しそうな友だちの姿を見ていたら95%の嫌な気持ちの中に、5%の興味が出てきた。

 

雨に濡れたくない気持ちと少しの興味が入り混じる中、わたしは教科書の入ったカバンを抱えて大雨に向かって飛び出した。

 

 

 

 

 

ザーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

教科書はフニャフニャにならずに済んだけど、制服が濡れてとても不快だった。もう二度とこんなことはしないと心に誓った。

あれから友だちの教科書はどうなったんだろう。

 

以後、わたしはしっかり置き傘をするようになった。

 

 

 

相変わらず今も雨が苦手だ。
ちょっとでも雨が降っていたら、それが小雨以下だとしても自転車を放置してバスで帰る。町ですれ違う誰もが傘をさしていなくても、自分が雨が降っていると判断したら速攻傘をさす。

通行人は、やや小雨が降っていても平然とノー傘で歩いてたりするので全員信用できない。

 

好きな天気は晴れ。くもりも苦手。


洗濯物もよく乾くし、明るい気持ちになれるし、晴れって本当良いですよね。

 

 

どうしても雨は嫌いだけど、雨が好きな人の気持ちもわからなくない。

何も予定がない、引きこもりの雨ならちょっと好き。

 

 

 

今日の1枚。

 

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今日はナタデココを飲んだ。
もうナタデココは入ってないと思って缶を濯いだら、中から大量のナタデココが出てきてショックだった。