マンホールカードをもらいに
9月26日
旧三河島汚水処分場喞筒場施設の見学に行った。
旧三河島汚水処分場喞筒場施設とは、日本で最初にできた近代下水処理場で、現在は重要文化財に登録されている場所。
なぜわたしは下水処理施設に、しかもわざわざ休日に見学に行ったのか。
それは東京23区のマンホールカードを手に入れるためでした。
通常のマンホールカードは、配布場所(市役所や観光案内所、道の駅など)に直接出向いて、「マンホールカードをください」と言えばすぐに手に入る。
「マンホールカードください」で手に入るカードたち
しかし東京23区のカードは違う。手に入れる難易度が桁違いだ。
他のカードが「マンホールカードください」のひとことで完了するのに対して、このカードは「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」という施設を見学しないと手に入れることができない。しかも見学をするには、ホームページでの事前予約が必須になっている。マンホールカードが欲しいだけなのに、約1時間半の下水道処理施設の見学を課してくるなんて…。
見学が必須ということから都内では入手難易度がかなり高めのカードだし、これを手に入れるのはもっと先になるだろうと思っていた。
それなのに、なぜか9月初旬に「見学に行こう」と思い立ったので、ついに昨日 都内難易度最高カードに挑戦してきた。
千代田線町屋駅を降りると、都電荒川線の駅や心落ち着きそうなデパート「サンポップマチヤ」、パッと見完全にイトーヨーカドーな「赤札堂 町田店」などが待ち構えていた。
町にはちいさな商店が数店舗ほど並んだ通りや、きれいな図書館があったりしてここに住んだら楽しそうだなと散歩気分で目的地まで歩いた。
かっこいい道界
町屋駅から徒歩10分ほどのところに、本日の目的地「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」はあった。ちなみに「喞筒」は、ポンプと読みます。
正門の前で係のおじさんが待ち構えていてくれて、名前を言うと施設の中に案内してくれた。
まず会議室のような部屋に通された。
見学者はわたしの他に40代くらいの男性が1人いた。どうやら今日はわたしと、男性と、施設の案内人のおじさんの3人で回るらしい。
最初に施設についてのビデオを見て、軽く説明があった後、実際の喞筒場の見学をするという流れのようだ。
施設の役割や歴史についてのビデオがスクリーンに流れ始めると、係のおじさんがパチッと電気を消した。中学校の社会の授業のビデオ鑑賞回(神回)を思い出して、反射的に寝てしまいそうになった。
なんとかビデオ中に眠ることはなく、説明を聞き終えてたら、本日のメインイベントである施設の見学に移動した。
最初に会議室のある建物の入口近くの蓋コーナーに案内された。いきなりマンホール蓋の解説でちょっとテンション上がる。
右下に展示されているのが東京23区のデザインマンホール蓋です。
中央にある4つの数字は、左側から区の番号で黄色が汚水もしくは合流管、水色が雨水管、真ん中のふたつが業者の人が識別くるようの番号、右側が設置年度を表しているらしい。
いつも、この真ん中の4つの数字は何を表しているのだろうと思っていたのでとても勉強になった。
マンホール蓋郡の説明が終わると、建物の外に出て、正門、門衛所、「日本の下水処理発祥の地」モニュメントなどを順に案内してもらった。
そして、
マンホールカードになった実物の、モデルの蓋と初対面することができた。はじめまして…
今までマンホールカードに写ってる蓋が、実際どこにある蓋なのかということをあまり気にしたことがなかったけど、これがあのマンホール蓋です!と言われると、まるでスターに会ったような気持ちになった。(カード撮影当時は、左側の白線はなかったらしい)
いつものスタイルでも記念撮影をした。
マンホール蓋があるところから、階段を下ると「濾格室上屋」という建物が現れた。
濾格室上屋
わかりづらいけど、上屋の左右手前にある沈砂地で下水道をゆっくり流すことでゴミを沈下させ、右のほうにある坂の上に向かってトロッコで土砂やゴミを引き上げていく。何言ってるか絶対に伝わらないと思うけど、ここはそんな感じの役割をしている場所です。
濾格室上屋の次は、なんと昔実際に下水が流れていたトンネルのある地下に入る。
トンネルに入るということで、東京都のマークが付いているヘルメットが渡された。
ヘルメットをかぶろうとした時、頭についている大きさ調整のベルトの扱いがわからなくてもたもたしていたら、係のおじさん(おじいちゃんくらいの年齢)がヘルメットをかぶせてくれて、紐までパチンと留めてくれた。急におじいちゃんの孫になったかと思った。
地下へ続く階段を下ると、まるでゲームの主人公のような景色が目の前に現れた。
トンネルに次ぐ、トンネル。
すごい…
ゲームの主人公になった気分でわくわくした。ポケモンなら野生のズバットやイシツブテが住んでいるんだろうな…
ここに先ほどの沈砂地を通過した下水が流れてきて、喞筒井を通り、奥にある喞筒室へと運ばれていく。
トンネルの見学が終わって地上に戻ったら、最後に喞筒室の見学をした。
大きなポンプがかっこいい。
ここには10台のポンプが設置されていて、先ほどの地下から汚水を吸い上げている。
これはポンプの太さ?を取り替えたりするクレーン(だと思う。かなりうろ覚え)。
壮観…
喞筒室を出た後は、施設を一望できる見晴らしの良い場所を教えてもらって、ひととおりの見学が終わった。
先月に「小平市下水道科学館」を見学した時は、エンターテインメント性が高く、わかりやすさがあったけれど今回は実際に使われていた下水処理場の見学だったため、より本格的な内容だった。
わたしはマンホールカード目的であって、そんなに下水道に興味があるわけではないため、見学で出てくる単語や施設の稼働している当時の様子を想像しづらい部分もあったけれど、汚水や雨水が流れてきて、いくつもの段階を経てきれいな水に生まれ変わっていく様子を自分の足で辿っていくのはとても貴重な体験で面白かった。
小平市下水道科学館で見た様々な点が、少しずつ線で結ばれていくような感覚があった。
見学が終わって、無事に東京23区のカードを手に入れた。
これは最初に会議室に入った時点で机に置かれていたけれど、見学を終えてから再び目にすると、先ほどのご本人(蓋)と対面したことや、見学の経験がカードに厚く肉付けされた感じがして、より嬉しく思えた。
カードの下の白い紙は、ただの台紙かと思いきや、中に施設の四季の風景が印刷されたポストカード5枚としおりが入っている。素敵。
施設を出るときに、係のおじさん(おじいちゃん)が、「これ、近所の人たちが作ってくれたんだけど良かったら持って帰りなよ」と折り紙でできた謎の置物(?)を見せてくれた。
その置物とは
この写真の右上のほうに映り込んでいる、
この置物を構成するものの中のひとつ。
それがこれです。
正直そんなにいらなかったけれど、ひとつだけ持って帰ることにした。とりあえず赤色を選んで手に取りつつも、(なんだこれ…)と思いすぎて、つい「あの…これ、なんですか…?」と聞いてしまった。
おじいちゃんも、「何だろうね」と言っていた。やっぱりわたしは孫だと思われてるのかもしれない。
昨日の一枚。
ラブリーな単艦バリケード
なんと左前足の肉球がピースしています
「蔵前水の館」(見学をしないとカードがもらえない場所その②)にも早く行きたいな〜と思いました。