夏の早朝

空想や妄想をしてみたい。

自由律俳句を鑑賞した夜のこと

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昨日は『自由律俳句を鑑賞する夜2』というイベントに出演しました。ありがとうございました。

出演者は、せきしろさん、又吉直樹さん、鈴木ジェロニモさん、出雲にっきちゃん、自分という夢みたいな並びだったので、イベントが決まってからも「2月28日って本当に来るのか…?」「夢か…?」と疑っていたのですが、

 

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ちゃんと全部が現実でした。きっと昨日のことはすずめ園の走馬灯に深く刻まれることでしょう。とても幸せな時間でした。

 

『自由律俳句を鑑賞する夜2 』 – LOFT PROJECT SCHEDULE

かなり大ボリュームのイベントになりました。

イベントの配信アーカイブは3月14日の21時まで、こちらのページから購入できるのでぜひ。

 

去年11月に開催された『自由律俳句を鑑賞する夜』では、配信チケットを買ってiPhoneの画面越しにせきしろさんのことを観ていました。自分が応募した句を採用していただけたりなんかして、次の日の朝陽がいつもよりきらめいて見えるくらい嬉しかったのを覚えています。まさか自分がそのイベントに出られることになるなんて。しかもせきしろさんと又吉さんが揃うなんて。

こんなの夢かと疑っても仕方がない。

 

間違いなく人生で最大レベルの超ビッグイベントだったので、前日の夜は箸を持つ手も震えましたし、にっきちゃんと入り時間の1時間半前に歌舞伎町のコメダに集まって自己紹介とコメントの練習をするくらいには緊張していた。

 

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わたしはアイスミルクで、にっきちゃんは蜂蜜アイスコーヒーでした。一緒に食べたみそカツパンの味はやさしかったな。

 

ドキドキしながらコメダを出て、会場入りをしたら突然憧れの人はいるし、終始そわそわするしかなかった。気がつくと、あっという間によく見たことのある青い壁の前に自分が座っていて、ジェットコースターが出発する前と同じで気持ちで目を瞑りました。

最初こそ緊張でかなりカチコチでしたが、せきしろさんと又吉さんがとてもやさしく、たくさん話を振ってくださったおかげで、リラックスして喋ることができました。好きな句について思いを伝えることができて、質問かなり丁寧にお答えいただけて、もう思い残すことはない。

 

イベントの後半では、視聴者の方から募集した「春」がテーマの自由律俳句を鑑賞しました。

個人的なお気に入りは、爪楊枝と唐揚げの句でした。とても好きです。

この句を見た瞬間、爪楊枝の先に刺さった大きな唐揚げが、テコの原理的に爪楊枝の細長い形で親指の腹にのしかかった時の重みがリアルに想像できました。ちょっと風が吹いて空気がもわんとした公園で、冷めた唐揚げ食べたいな。

 

それから苺の句も。

イベント中にも、こういう句なのではないかとお話しさせてもらったのですが、小さい子どもが買ってもらったお菓子やおもちゃをずっと手に持って歩く感覚と似ているのかなと想像しました。

わたしにはそういうところがあり、スーパーで苺を買ったとしたら、日なたをお散歩させるみたいに苺だけ手に持って徒歩で家に帰りたい。苺を買うという時点でちょっと特別感あるよね。

だけど、この句の作者は全く違う想定で作った可能性があるので、ここで勝手にわたしの解釈を展開してしまって申し訳ないですが… この句からそんな場面を思い浮かべさせてもらいました。

 

わたしも「春」をテーマにした自由律俳句の募集が始まった時、色々と春の句を考えてみたのですが、見事に花見の句しか出てこなかった。きっと自分にとっての 春→散歩→公園の桜→花見 だったんでしょうね。それしか考えられなかった自分の想像力の乏しさが恥ずかしい。

春の風景や出来事を思い出そうとしても、まだ思いっきり冬なので、どうしても王道の「桜」を思い浮かべてしまう→結局「花見」となり、全然ダメでした。なので、視聴者の方たちの句を見て「そういえば春って新学期があったか…!」という気付きがあり、とても面白かったです。自己紹介、新しい名札、下駄箱、花粉症、引っ越し… 春っていろいろあるじゃん、、

 

(ちなみにすずめ園の春の句はこちら。「まだ三鷹なのにサビ」も春のつもりで作りました。)

 

紹介された句の中で、わたしやにっきちゃんのファンの方や、自由律俳句をやっている方など、知ってるお名前を何人かお見かけして、本当に仲間と句会をやっている感覚になりました。(わたしなどが勝手に仲間認定してしまって申し訳ないけれど)  でもひだりききクラブでもまた句会やりたいです。

 

それから、自転車の句のときのエピソードで、わたしは2月25日に原付免許を取ったばかりだったのですが、せきしろさん又吉さんのおふたりとも、車よりも原付に縁がある(あった)ことを知って、自分の原付免許持ちが急に誇らしく思えてきましたね。原付最高!

 

最後にはジェロニモさんの春の短歌が5首紹介されました。

個人的に「ータンセし越引」の句が好きで、今でもこの文字列が頭の中にこびりついている。

木下龍也さんの『天才による凡人のための短歌教室』という本があります。短歌はまだ作ったことがないのですが、自由律俳句を作るのにも役立ちそうだし、立ち読みしてものすごく面白かったので先月本屋さんで買いました。その中でちょうど、短歌の表現のひとつして文字列や空間の自由自在性を知ったばかりだったので、この作品を目にしたときは興奮しました…。文字が文字としての意味だけじゃなく、そこだけまるで写真みたいです。アパートの前から動き出すトラックと、それを窓から見ている人の視点が感じられます。言葉って言葉として伝えるものだと思っていたけれど、記号のようにデザインされているのが面白く、写真みたいにこの作品の光景が残りました。

ところで、「アパート」って単語良いですね。アパートは春の季語だなと思いました。自由律俳句には関係ないけれど。

 

自由律俳句が好きな人たちと、しかもその中には自由律俳句にのめり込むキッカケになった憧れの人もいて、そんな空間で自由律俳句について語る時間は本当に楽しく、幸せでした。

人生経験が少ないなりにも、今まで幾つかの幸せを感じてきたけれど、なんだか感じたことのない種類の幸せでした。不思議な感覚。アイドル活動をしていた時にも、以前から好きだったアイドルの方や、憧れの人にお会いする機会はありましたが、こんなにも「好きな気持ちや感想を伝えたい!」「お話しをたくさん聞いてみたい!」強く思う方に会ったのが初めてだったからかもしれないです。
楽しいと幸せは仲間だけど全く別の場合もあるし、同時にやってくることもある。昨日の場合は、同時でもあり、楽しいをさらに覆い尽くすような幸せを感じました。夕張めろんの甘い匂いのような、ふわふわした心地に包まれている。幸せはめろんの匂いに似てるみたいです。個人の感想ですが。

 

自由律俳句を始めてまだ日が浅いのにもかかわらず、こんなに大きなイベントに出演させていただくのは恐れ多かったですが、にっきちゃんの自由律俳句は本当に素敵だし、わたしも(自信ないことは多々あるけれど)自分の句は好きだったりするので、このイベントに出られたことを誇りに、自由律俳句ユニット「ひだりききクラブ」として活動していきたいです。ひだりききクラブのファンがちょっとずつ増えていきますように。