夏の早朝

空想や妄想をしてみたい。

修学旅行でイギリスに行った話①

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高校2年生の7月、修学旅行でイギリスに行った。


6泊8日のうち、5泊はチェルトナムにあるホストファミリーの家で過ごし、最後の日はロンドンに移動して自由行動をした後に1泊し、帰国するというスケジュールだった。
希望者はそのままイギリスに残り、夏休みの間の1ヶ月短期留学ができるプログラムもあったが、わたしは6泊8日だけで日本に帰った。

 

その時のわたしは、修学旅行に行きたくなくてたまらなかった。イギリスにもさほど興味がないし、修学旅行というものが好きではなかった。修学旅行の、「せっかく京都に来たんだから、あれもこれも奈良も行こう!」といった具合に1日に予定を詰め込み、あちこち連れ回されるところが嫌だったのだ。

それに、当時から既に1人でいるのが好きだったので、異国の地で何日間も人と一緒に過ごすことを考えると、かなり気が重かった。

一応、母にも「修学旅行、行きたくないんだけど」と言ってみたけれど、まともに相手をされなかったのは言うまでもない。

 

いくら嫌でもイギリスには行きは決定しているため、高1の冬休みにはパスポートを取得しに都庁に行ったし(書類に不備があって3回くらいやり直した)、高2になってからは学校でも着々とイギリス行きの準備学習が進められた。

 

イギリスに出発する2週間前、自分がお世話になるホストファミリーがどんな家庭なのか、簡単に書かれた手紙がそれぞれに配布された。
ホスト先には同じクラスの子と2人1組になって滞在する。わたしはクラスで1番仲の良い、明るくてお調子者のAちゃんという子とペアだった。

 

 

手紙を読んで驚愕した。

 

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(Host mother) lives in a lovely family home with her daughter.
Her home is 15 minutes walk to school. She has a pomeranian dog a cat and lots of chickens in the garden. Her and (daughter) enjoy horse riding, cooking and keeping fit.

 

 

 

lots of chickens って。

 


わたしら鳥が大の苦手だ。怖い。

狭い道に鳥がいたら通れないので鳥がいなくなるまで待つか、ちょっと遠くに行ったタイミングで鳥と目が合わないように走って通り抜けたりしたいる。なぜか部屋に鳥がいて飛び回っているのを、泣き叫んで逃げる地獄みたいな夢を何度も見たりするくらいだ。

 

それなのにlots of chickensの家に泊まるなんて…。


手紙を読んでからさらに修学旅行が不安になったが、2学期の期末テストを受けたら、あっという間にイギリスに出発する日がやってきた。

 

 

 

2013年7月2日(火)


大きなキャリーバックを転がしながら、朝の8時半に成田空港に集合した。クラスごとにチェックイン、手荷物検査、出国審査を済ませて搭乗する。


11時半には、ヴァージンアトランティック航空の飛行機でロンドンのヒースロー空港に向かって出発した。


かなり狭い上に、両側に人がいる席だったのでかなり窮屈だった。行きはとにかく気流の乱れが激しく、大きく縦揺れして怖かった。

途中、機内食を食べている時にあまりにガタガタするので、焦って「パスタ飛んでく!パスタ飛んでく…!」と言っていたら、前の席にいた夫婦に笑われた。

 

飛行時間は約12時間25分もあった。

機内食は2回食べたし、1〜2回くらい夜になってたような気がする。

それなのにイギリスのヒースロー空港に着いた時には、出発した日と同じ日の16時だった。意味がわからないよ。(日本とイギリスの時差は−8時間)

 

 

入国審査が終わり、他のクラスの待ち時間で暇だったので、空港にあったハリボー自動販売機でアイスを買ってみた。

 

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可愛い〜!

持ち手の中にハリボーのグミが詰まっている。


食べる前から薄々気づいてはいたけど、アイスを食べ終わっても持ち手部分のグミが全然取り出せない。棒を逆さにしても、振ってみてもビクともしなかった。

何人かの友だちにやってもらっても全然ダメだったのに、最終的に色白の可愛い子が必死になってグミを取り出してくれた。どうやって取り出したのかは全然思い出せない。

 

アイスは美味しくなかったけど、グミは美味しかった。

 

 

全員の入国審査が終わり、次はバスに乗ってチェルトナムに向かう。

空港のあるロンドンから、ホームステイ先のチェルトナムはバスで2時間半かかる。12時間半のフライト後、すぐに2時間半のバス移動とは、旅慣れてない16〜17才女子にとってなかなか鬼畜なスケジュールだったと思う。

(よく頑張りました…)

 

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だだっ広い草原に羊や牛や馬がぽつぽつといる。

2時間半、ずっとこんな景色が続いた。

 

通路挟んで隣に座っていた子が、かなり序盤のから「お腹痛い」と言いまくっていて、漏らすのではないかと自分まで怖くなったけれど、何事もなく無事チェルトナムのタウンホールに到着した。

 

 

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この写真、20時すぎに撮ったらしいのにこんなに明るい。白夜のように、イギリスの夏は夜でもなかなか日が沈まないようだ。

 

タウンホールに集合して、それぞれのホストファミリーとマッチングをした。

わたしとペアのAちゃんは、ホストマザーのオリビア(仮名)に迎えられて彼女の車で自宅へと向かった。

リビアは30代前半くらいで、明るく活発な印象。娘のアリス(仮名・5才)はとても可愛らしかった。

 

英会話は思ったよりも通じた。というか、下手でも相手側が、何を言いたいのかなんとなく察してくれた。事前学習をしていても、いざ話すとなると簡単な表現もなかなか口から出てこない。

 

ホストマザーの家に到着すると、夕食を振舞ってくれた。
写真は撮っていなかったが、修学旅行のしおりに書いてあった日記によると、ワンプレートの、豆、ソーセージ、マッシュポテトとヨーグルトだったらしい。教科書で見たようなイングリッシュブレックファースト風の食事にテンションが上がった。

イギリスのごはんはまずいとよく聞くが、手料理だからかそんなことはなく、美味しく食べられた。

 

 

手紙に書いてあったペットたち。

 

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1枚目はたぶんポメラニアン……

(いや、猫…?あまり登場しなかったのでわからない)

 

2枚目の子猫 オスカルは人懐っこくて、よく膝に乗せていた。とても可愛い。

 

 

そして、わたしの恐れていた大量のにわとりだ。

 

庭の奥に小屋が見えた。

おそらく、あの中にlots of chickensが潜んでいるのだが、もう夜なので小屋で休んでいるようだった。

とりあえず初日は姿を見ることがなくてほっとした。

 

 

夕食を食べ終わってシャワーを浴びた。

2階の1部屋がわたしとAちゃんの寝室として用意されていた。

15時間以上かけて異国の地にやってきたので疲れてはいたが、外はまだ明るいし、少し時差ボケしているようだった。日本の時間を確認してみると、もう明日の朝の6時になっていた。

 

スマホを見ると、いつもSoftBankと表示されてるところが "UK" になっていて、改めてイギリスに来たんだなぁと思った。

眠って起きたら、忙しい修学旅行2日目が始まる。