夏の早朝

空想や妄想をしてみたい。

はじめてのクリームソーダ

※これはインターネットのどこかに書いた文の再掲+ちょっと足したものです。

 

 

わたしは迷っていた。

 


11月の帰り道、

わたしの頭の中はあるものでいっぱいだった。

自分でも意外だったけれど、今まであまり興味がなかったはずのあれでした。

 


クリームソーダ

 


わたしは記憶にある限り、今まで一度もクリームソーダを飲んだことがない。

飲む、と表現したけど、口にしたことがないので飲むものなのか食べるものなのかすらもよくわかっていない。あれは一体なんなのだろう。

 

もしかしたら幼少期〜小学生くらいの頃には出会っていたのかもしれない。

しかし、それ以降自分がクリームソーダを摂取した記憶や記録はない。意外。

 


まずメロンソーダをあまり飲んだことがなかった。

 

メロンソーダ

 

人間が飲んでも良いものなのか疑ってしまうくらいに色があざやかだ。きれいだけど毒のようにも見える。

実際に飲んでみた時も、よくわからない味だと思った。むしろレモンみたいだった。


炭酸の飲み物にアイスクリームを合わせるというのも不思議。

もちろん、それまで炭酸飲料とアイスクリームを同時に口にしたこともなかった。なので、なぜクリーミーなものをぱちぱちと弾けさせるんだろうと疑問に思ってしまう。

クリーミー×ぱちぱち未経験者の私には、その組み合わせがどうして多くの人を魅了するのか想像ができなかった。

 


外は寒いし、見たいドラマがもうすぐ始まる、

電車はもうすぐ喫茶店のある駅に到着する。

 

やめようかどうしようか迷ったけれど、ギリギリのところで電車を降りた。

 

今日、絶対クリームソーダ、と心に決めたわたしは、

すこし早足で喫茶店に向かった。

 

 

 

 

クリームソーダが運ばれてきた。

 

グラスにたっぷりと注がれた青色のソーダ水の上に、上から見たらソーダが隠れるくらい大きなバニラアイスクリームが乗っている。

 

アイスクリームの表面は、すこし溶けてつるんとしたところと、ディッシャーで掬われた跡ところがあった。ちょっとだけいびつできれいだった。

 

ストローの中の水滴が青色だった。

アイスクリームをソーダ水に沈めた時にぱちぱちと小さな泡が出た。

透明なソーダ水が濁った。

アイスクリームをソーダ水から掬い上げてみると、たくさんの小さな泡に包まれてきらめいていた。

 


わたしは食べ物の写真を撮ることが好きだ。

どう表現したら良いのかわからないが、食べ物に入り混んだ空気や断面、表面やスプーンですくったときの形、溶けている様子などがとにかく好き。

特にパンと生クリームとアイスと炭酸は大好物だ。

 


被写体として素晴らしすぎる。

クリームソーダって素晴らしすぎる。

夢中で写真と動画を撮った。

 


クリームソーダを初めて飲んだ時、あまり甘味料っぽい味がしなくて美味しいなと思ったけど、その後の味の記憶が曖昧だった。

 

わたしは超最高の被写体を目の前にして、その味をほとんど覚えていなかったのでした。

 

f:id:natsuno_soucho:20200612224841j:image