夏の早朝

空想や妄想をしてみたい。

御成座とローカル線(秋田県大館市〜山形県山形市)

 

この記事は東北旅の3本目です。

 

(1本目)

natsuno-soucho.hatenablog.com

 

(2本目)natsuno-soucho.hatenablog.com

 

 

今日は大移動をする。

まずは7時56分青森駅発の奥羽本線に乗り、秋田駅を目指す。

 

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途中の大館駅では約30分の待ち時間があったので駅前を散策してみた。

 

 

そしてこの大館の地で、

わたしは素晴らしいマンホール蓋に出会う。

 

 

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秋田犬……!

 

犬が描かれたマンホール蓋は初めて見たかもしれない。魚や鳥のデザインはよく見かけるけど、犬はレアだ。可愛い!!!(犬好き)

 

マンホール蓋に関する前情報なしに大館駅に降り立ったけど、こんなに可愛いらしい蓋に出会えたのは嬉しいサプライズだった。ありがとう、待ち時間よ。

 

 

さらに、小さい蓋も素晴らしい。


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子犬……!

 

通常の蓋に描かれている成犬に対して、蓋のサイズが小さくなったから犬まで子犬になっちゃったってことですか…!?

 

なんて粋な発想。

考えてくれた人に感謝を述べたいくらいだ。

 

 

さらにさらに、


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大館市は市章もかっこいい。(蓋の中央部分)

リボンのようなものは大館の「大」を表し、大館の「館」は「盾」に見立ててデザインしたものらしい。お金持ち学校のエンブレムっぽいよね。

 

大館市のマンホール蓋、最高。

 

マンホール蓋を見ただけなのに、すでに大館市に好感しかない。

 

 

さらに駅東方面を歩いていく。


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        朝          市

 

市場だ!と思って駆け寄ってみるも、営業してなさそうな雰囲気だった。

昼になっても夜になってもここは朝市。


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盗まれた‼︎

鍵かげれって 言ったべしゃ

 

注意喚起されてるのに、訛りに癒されてしまう看板。

鍵かけれって言ったべしゃ。

 

 

地図で見つけて気になったのは、

駅近くにある「御成座(オナリ座)」という映画館。


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東北で唯一の単館常設映画館らしい。

この世界の片隅に」の看板がひさしの上と下に飾られていた。


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なんとこの看板、よく見ると手書き。


足元に置かれた立て看板には『見学無料!うさぎもいるよ』のようなことが書かれていた。映画を観る時間はなかったけど、せっかくだから中を見学してみることにした。

 

一歩中に入ってみると、ロビーは優しい明るさで、おばあちゃん家のような落ち着く雰囲気があった。
真っ黒で立派な映写機が2機置かれていて、看板に書かれていた通りうさぎもいた。

ロビー部分が結構コンパクトだったので、全体もあまり広くないのかと思っていたが、入口付近の売店の奥には長い廊下が続いていた。どうやら奥行きはかなりありそうだ。ホールの中を少し覗いてみると、想像以上に多くの座席が見えた。


すると、ホールの中から5,6人くらいの人が出てきた。どうやら、ちょうど館内の見学ツアーをやっているところだったらしい。

係りの人が、ぜひ一緒に説明を聞いていってくださいと言ってくださったので、わたしも見学ツアーに途中参加することにした。

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入口に飾られていた手書き看板は2,3日くらいで描いてしまうらしい。


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長い廊下の壁には過去の手書き看板や、古い映画の貴重なポスターが集まっていた。

 

このあとは映写機の説明に入るみたいだったけど、電車に乗る時間が迫っていたので駅に戻ることにした。本当は続きも参加したかったし、もっと色々と見学したかったけど、電車を見送るわけにはいかない。トータル5分くらいしか居られなくて非常に残念だった。

 

実はこの御成座、2005年に一旦閉館して2014年に復活している。

『激レアさんを連れてきた。』にも、「廃業したボロボロの映画館に自宅として住み始めた結果、映画館の営業までする羽目になった人とその妻」として出演したことがあるそう。知らずに住んだ物件が元映画館で、そこから本当に映画館として復活させるなんて、映画みたいな話だ。

調べれば調べるほど面白い映画館なので、興味のある方はぜひ「御成座」で検索してみてください。


次はちゃんと映画を観に行こう。

 

御成座を出て、大館駅から再び電車に乗った。

 

さて、初めのほうにわたしは秋田駅を目指していると書いたが、最終目的地は秋田ではない。ゴールは秋田駅から乗り換えて、5時間電車に乗った先のもっと遠い場所にあるのだ。

 

秋田駅から最終目的に行く前には、3時間の乗り換え待ちがあった。とんでもない長さだ。

3時間の待ち時間はどう過ごそうか。秋田駅にある「kissaten」にもう一度行ってみることも考えた。

 

しかし、これは青春18きっぷの旅。せっかくなので、もっと電車に乗ってやろうと思った。

 

わたしは秋田駅で降りずに、3駅前の追分駅で降りた。


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そして、追分駅から12時27分発の男鹿行きの電車に乗った。

 

わたしは以前から男鹿線に乗ってみたいと思っていた。

 

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男鹿半島部分。日本地図ではかなり目立っているのに、全くの未知の場所だ。果たして男鹿半島には何があるのだろうか。

また、追分駅から伸びる男鹿線は男鹿方面に行くためだけの路線だ。他の列車への接続がなく、男鹿方面のために存在する盲腸線というところにも余計に興味がそそられた。

 

始発の追分駅から終点の男鹿駅までは約40分かかるので、往復と散歩タイムを考えると3時間の乗り換え待ちを過ごすのに、男鹿に行くのはちょうど良かった。


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赤い車体が素敵な男鹿線


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卒業シーズンだったので車内も卒業仕様になっていた。桜の花びらが敷き詰められている電車なんて初めてだ。

 

小学校の地図帳くらいでしか名前を聞かない男鹿に行くのだから(超失礼)、道のりは相当カントリーだろうと思っていた。しかし、始発の追分〜脇本までは住宅街のような、確実に人が住んでいる景色がずっと続いていた。乗客もそこそこいて、周辺住民の生活に根差した大切な路線なんだなと想像した。

 

途中、脇本駅で降り損ねた人がいて、1駅先の羽立駅で降りていた。
その人の降りたかった脇本駅はギリギリ住宅街だったけど、1駅見送った羽立駅は脇本駅からかなり距離がある上に、ものすごい草に囲まれた場所になっていたので「この人、大丈夫なのか…?」と勝手に心配になったりした。

降り損ねた人が無事に脇本駅に行けたことを祈る。

 

 

カントリーな風景になってから2駅ほどして、終点の男鹿駅に到着した。

 

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周辺には高い建物がなく、空が広くて気持ちよかった。

 


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近くの海。透き通っていてきれいだった。

 

 

とても開放的な気分で、なんとなく男鹿半島のここ(↓)にいる気分になっているけど、

 

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実際はここ。

 

 

 

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男鹿市のマンホール蓋は絶対になまはげだろうと思っていた。

 


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…NOTなまはげ

 

市の花・椿のデザインだった。

駅前にないだけで、他の場所にはなまはげのマンホール蓋があるのでは?と思ってネットで調べて見たけど、わたしの想像していたようなリアルで恐ろしいなまはげ蓋は存在しないようだった。

 

 

男鹿駅の周辺の建物。


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駅前には2体のなまはげの像が設置されていた。

 


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ボタンを押すと音声が流れるみたいなので、日本語のボタンを押してみた。

 


「ん"ん"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
わるいごはいねえが〜
ん"ん"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
m@w@やjwt.ag'mm58間g5な
ん"ん"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 」

 


確かにわたしは日本語のボタンを押したはずなのに、ほとんど何を言っているのかわからなかった。

 

英語はどうなるんだろうと、

Englishボタンを押してみたところ、

 


「悪い子はいねぇが、ようこそ男鹿へ
見所がいっぱいあるから楽しんでいってね」

 


のようなことを英語で言っていた。英語の方が100倍聞き取れた。

「ん"ん"〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」の部分が「Ohhhh〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」だった。

 

そのあと、韓国語と中国語のボタンを押したりして遊んでたら電車に遅れそうになった。なまはげのせいで遅れるわけにはいかないので意地でも乗った。

 

 

そして、また約40分かけて追分駅に戻り、奥羽本線に乗り換えて3駅先の秋田駅に到着した。

 

男鹿は寄り道だったが、ここからは最終目的地の山形駅に向かって進んでいく。

 

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(ibis paintで書いた渾身の東北4県です)

 

少し早く着く奥羽本線ルートもあったが、海沿いを走る羽越本線ルートを使うことにした。

地図で見る限り、羽越本線はかなり海の近くを走っている。内陸の山ばかりの景色よりも、わたしは海がきれいに見えることを期待した。

 

15時16分、秋田発酒田行きの電車に乗った。

 

 

 

予想通りだ。



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きらきらしている。

適度にがらんとした車内と日が落ち始めた海の相性が良く、とても幻想的だった。

 

小砂川〜吹浦間が1番海がよく見えてきれいだった。

 

 

たしか弘前あたりから存在を認識し始めた人がいた。

青森から秋田駅までずっと同じ電車に乗っていた、読書をしながらうたた寝してた40代後半くらいの男性。その人と3時間の乗り換え時間を経てまた同じ電車になった。気づいてはいたけど、やっぱり青春18きっぷの使者なのだなと再認識し、心の中で勝手に友だち認定をした。

 

ローカル線で旅をしていると、乗り換えても乗り換えても、車内のメンツが変わらなすぎて気まずいことがある。けど、他にも電車でひとり旅をしている人がいるのだと思うと、ちょっとだけ心強く感じたりもする。

 

終点の酒田駅には17時すぎに到着し、そこから1時間の待ち時間があったので駅前を歩いた。


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酒田市の観光名所、山居倉庫(上)と日和山公園(下)が描かれたマンホール蓋。

版画を思わせる、しっかりとした線がかっこいい。


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酒田市も市章が良い。

「さ」が渦を巻いたようなデザインになっている。


 
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ここはトイレの ???

水洗で住みよい 私のまちづくり

 

水洗トイレが当たり前でなかった時代の看板だろうか。こんな看板が令和に残ってるとは。

 

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神社に入ったり、駅周辺をぐるっと散歩した。

 

 

18時7分発の新庄行きに乗車。

またさっきの男性と同じ電車。もしかしたら山形駅まで一緒だったりするのだろうか。

そう思ったが、次の乗り換えの新庄駅で姿を見失った。朝からあまりにも同じ電車になりすぎて気まずかったのでホッとしたけど、同時に少し寂しさもあった。

 

 

20時27分には山形駅に到着した。


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山形市のマンホール蓋。市の花ベニバナと市の木ナナカマドが描かれている。

 

山形市なのにさくらんじゃないのか〜と思いませんでしたか?

残念ながら山形市にはさくらんぼデザインのマンホール蓋はなく(間違ってたらすみません)、お隣りの寒河江市東根市さくらんぼが描かれたものがある。地面でさくらんぼが見たい人は寒河江市東根市に行きましょう。

 

 

駅近くのホテルで1泊し、翌朝に山形駅から東京方面の電車に乗った。途中、両毛線に乗って遠回りをしながら家に帰った。

 

 

 

最後に、この東北旅で手に入れたローカルパンの紹介をします。

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秋田駅ニューデイズで購入した「カステラサンド」と「学生調理」

 

学生調理はナポリタン、ポテトサラダ、ソーセージカツの3種の具材が入った豪華なパン。ネーミングも良いよね。

 


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カステラサンドの断面。

パンにカステラが挟んであるのでとてもボリューミー。パンもカステラもふわふわ。

 


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こちらは盛岡駅ニューデイズで買った「相馬屋のクリームパン」

 

これ、、想像以上に美味しくてびっくりした。

手のひらに収まるほど小さいけど、パンの生地がもっちりしていて食べ応えがあった。中のクリームの味も、上品でなめらか。

 

岩手県宮古市にあるパン屋さんが製造販売しているらしい。わざわざ宮古市に行ってパンを買いに行きたいほど美味しかった。


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青森駅さくら野百貨店本店で買った「頭脳パン」と「フレッシュランチ イギリストースト風」

 

商品名に惹かれて買ったけど、頭脳パンってなんだ?


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・ずのうパンとは小麦粉100g中ビタミンB1を0.17ミリグラム以上含有した頭脳粉で作られたパンです。

・ずのうパンを毎日食べてよく勉強して優秀な成績をあげて下さい。

 

食感は若干非常食っぽさがあったけど、これで優秀な成績があげられるなら毎日でも食べますとも。

 

 

もう1つのパンは、こちらの青森で有名なローカルパン「イギリストースト」がフレッシュランチ化したもの。

 

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(これは去年買ったイギリストースト)

 

フレッシュランチは、ほぼラ◯チパックでした。イギリストーストもランチパックも美味しいので、フレッシュランチももちろん美味しかった。

ちなみに、写真は撮り忘れたけど「イギリストースト じゃり増し」も買った。

 


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山形駅マックスバリュで買った「ベタチョコ」

 

コッペパンを開いて、断面にクリームを塗り、上からチョコで蓋をしたパン。

すぐ食べずに家まで持ち帰ったら、名前通りにチョコがベタベタになってしまった。

 

 

 

と、こんな感じの旅でした。

 

旅に出るたびに新しい発見あるから、行っても行っても行きたいところがどんどん増えていく。この東北旅では田沢湖線も、可愛くて変なkissatenも、壺のあるファミレスセーブルも、御成座も、また絶対に行きたいと思った。

旅は楽しいし旅は無限。コロナウィルスが落ち着いて、早くまた旅に出れたらいいな〜と思います。

 

長いのに読んでくださってありがとうございました。まだ少しだけ旅日記のストックがあるはずので、いつか書きます。